いまさら聞けない基礎教学③【南無妙法蓮華経が秘沈されている文はどこ？】

『開目抄』に「一念三千の法門は但法華経の本門寿量品の文の底に（秘し）しづめたり」と南無妙法蓮華経が寿量品の文底に秘沈されていることが書かれていますが、寿量品のどの文の下（文底）に秘沈されているか知っていますか？御歴代上人の御指南では実は該当する寿量品の文は2カ所あります。日寛上人は【我本行菩薩道】の文底で、日有上人は【如来秘密神通之力】の文底だと御指南されています。このように御歴代上人の御指南が違うと、「法主によって言っていることが違うではないか！」と鬼の首でも取ったように正宗批判をしてくる浅学の人間もいますから、そんな門外漢に絡まれた時のために日有上人と日寛上人の解釈が違う理由を説明します。結論から言うと「本果に約すか本因に約すか」或いは「仏身に約すか修行に約すか」の違いなのです。まず日有上人の言われる【如来秘密神通之力】の文について天台『法華文句』にはこの御文は仏（教主釈尊）の体と力用を示していて文上においては三身相即の本果妙の釈尊を示す御文であると説明されています。その本果妙釈尊を示す文底に本因妙の教主即日蓮大聖人の体と力用（南無妙法蓮華経）を示す深意があると日有上人はいわれているのです。これは仏身（本因仏・本果仏）に約した御指南です。次に日寛上人の御指南は久遠実成の本果妙の釈尊の修行に約して会通されています。寿量品で釈尊は【我本行菩薩道】の修行をして五百塵点劫の昔に成仏した（久遠実成）と説かれていますが、では【菩薩道】とは具体的にどのような修行だったかというと、それこそが南無妙法蓮華経の修行でりこの文の文底に本因妙である【南無妙法蓮華経】が秘沈されていると言われているのです。このように日有上人は本果・仏身に日寛上人は本因・修行の約してそれぞれ御指南さているのでどちらも正しいのですがこれは所詮の辺に即した御指南であって、能詮においては、『当流行事抄』に「能詮の辺の二千余字是れを我が内証の寿量品と名づけ、所詮の辺の妙法五字是れを本因妙と名づくるなり」との御指南にあるように寿量品二千余字の文底に本因妙の南無妙法蓮華経が秘沈されているのです。寿量品二千余字とは我々法華講員が二座の勤行で読む寿量品長行の文のことです。この寿量品二千余字の文字全てが能詮・文底の妙法を表す大聖人の「我が内証の寿量品」で、所詮の妙法五字が本因妙です。能詮は智妙であり所詮は境妙で正しく境地冥合の戒壇大御本尊を寿量品二千余字を所用して表しているのです。だから二座の本尊供養の勤行において長行を読むのです。創価インスタント勤行はこの御本尊の力用を顕し讃嘆する長行を読まないから「インチキ勤行」というのです。長行（内証の寿量品）を読まずに御本尊に対し手抜き勤行をしているくせに御本尊に功徳を願うという「創価乞食信心」がインチキ勤行の姿に現れています。もっとも大聖人の「内証の寿量品」ではない創価レプリカ掛け軸を拝んでいる学会員には長行を読む必要はないといえばそれまでの話ですが。ともあれ両上人の御指南はどちらも久遠元初の本因下種の仏法を御指南されていることで共通しています。従って「法主によって齟齬がある」などという批判は富士日興門流の法門の深義をしらない一知半解の痴れ者の戯言に過ぎません。そのような知ったかぶりする正宗批判者に法華講員として理論的に反論できるようにお互いに基礎教学をしっかりと身に着けておきたいですね。